blue.2

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繋いだ手から奏くんの体温が伝わる。 滑らかな肌。長い指。硬い関節。 風に揺れる髪。ざわめき出す街路樹。 浮かれた春の陽気。湿った夜の匂い。 記憶にある制服姿じゃなくて。 スーツ姿の奏くんは知らない男の人みたいだった。 「…ラーメン!」 沈黙に耐えられなくて、慌てて叫んだ。 奏くんは一瞬大きく目を見開いてから、無邪気な子どものような笑顔を見せた。 「うん。俺も」 奏くんが繋いだ手に力を込めて。 すごく優しい目をして私を見るから、 もう全然痛くないのに、足に力が入らなくなって転びそうになって、 すがるように奏くんの手を握り返してしまった。
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