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夢?
和泉さんが出て行って閉じられたドアを見つめる。
それって、どういう、…
考えあぐねていると、通勤バッグの隣に放置したままのスマートフォンが着信音を鳴らしながら振動した。
「わっ、…」
いろいろ心臓に悪いと思いながら、腰をいたわり、這いつくばってスマホに手を伸ばす。
そういえば、電話鳴ってたって言ってたな。
画面を見ると、
『calling " 俺 ”』
は?
な、…なにこれ。誰―――――っ!?
鳴りやまないスマホに恐る恐る指を近づけて画面をタップする。
名乗らないまま息を止めて耳に当てると、
「…誰だよ?」
なんだか若干不機嫌な声が聞こえた。
っつーか、お前が誰だよ―――――っ!!
全力で突っ込みながら。
でも、この声。胸の奥がぎゅっとする。
一度聴いたら忘れられない、甘く沁みる声。
こんな声、一人しか知らない。
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