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「…か、なで、くん?」
恐る恐る問いかけると、盛大なため息が聞こえた。
「誰だよ? さっき電話出たの」
「え、…」
状況から考えると。多分。
「和泉さん…?」
だよねぇ。
「和泉…」
電話の向こうで奏くんがちょっと黙ってから、やっぱり不機嫌な声で続けた。
「なんでこんな朝早くからアイツと一緒なんだよ?」
「それは、…」
考えてみよう。なんでこんなことになっているのか。
そう。それは全部。
「奏くんのせいじゃん!!」
「…は?」
奏くんの声を聞いたら張りつめていた糸が切れた。
昨日の朝から一連の、
悔しくて悲しくて情けなくて、怖くて痛くてびっくりしたことを
洗いざらいぶちまけた。
なんかいろいろよみがえって、また泣き声になってしまった私を、
「お前、バッカじゃねえの!?」
奏くんの美声が容赦なく打ちのめした。
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