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その声で罵倒しないで欲しい。
なんか心臓が混乱する。
「お前、…バカだバカだと思ってたけど、ホントバカだな!」
な、な、…
「何よ―っ、バカバカって、奏くんが優しすぎるのがいけないんじゃん!」
言い返したら、奏くんがちょっと黙った。
大体、「俺」って誰だよ。
そりゃ確かに『俺の連絡先入れとく』って言ったけど。言ったけども。
そんなのわかるか―――――っ
「別に、普通だろ」
なんか拗ねたように奏くんがつぶやいた。
「…お前には、ずっと優しくしてただろ?」
…まあ。
奏くんは、さりげなくて、何気なくて、淡々としてて。
気まぐれにみんなに優しかった。
「俺、今、ロンドンだから」
「えっ、…!」
これ海外からかけてんのか。
そういえば、奏くんはロンドン新聞に勤務してるんだっけ。
確か、奏くんて、帰国子女だったような気もする。
「帰ったら行くから、ちゃんと待ってろよ」
「…うん」
ん?
「でもさ、奏くんじゃないなら、誰が情報流出させたんだろう」
ふと気づいた疑問が口を突いて出た。
「知るか。その休んでるっていう助手が出てこなきゃそいつじゃねえの、バーカ」
最終的にバカ決定されて、唐突に国際電話が切れた。
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