blue.5

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その声で罵倒しないで欲しい。 なんか心臓が混乱する。 「お前、…バカだバカだと思ってたけど、ホントバカだな!」 な、な、… 「何よ―っ、バカバカって、奏くんが優しすぎるのがいけないんじゃん!」 言い返したら、奏くんがちょっと黙った。 大体、「俺」って誰だよ。 そりゃ確かに『俺の連絡先入れとく』って言ったけど。言ったけども。 そんなのわかるか―――――っ 「別に、普通だろ」 なんか拗ねたように奏くんがつぶやいた。 「…お前には、ずっと優しくしてただろ?」 …まあ。 奏くんは、さりげなくて、何気なくて、淡々としてて。 気まぐれにみんなに優しかった。 「俺、今、ロンドンだから」 「えっ、…!」 これ海外からかけてんのか。 そういえば、奏くんはロンドン新聞に勤務してるんだっけ。 確か、奏くんて、帰国子女だったような気もする。 「帰ったら行くから、ちゃんと待ってろよ」 「…うん」 ん? 「でもさ、奏くんじゃないなら、誰が情報流出させたんだろう」 ふと気づいた疑問が口を突いて出た。 「知るか。その休んでるっていう助手が出てこなきゃそいつじゃねえの、バーカ」 最終的にバカ決定されて、唐突に国際電話が切れた。
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