blue.5

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冷静に考えると自分でもバカだと思うけど、それにしてもバカにし過ぎじゃないだろうか。 そもそも何の用だったんだし。 もう、イケメン意味わからん。 「…こぼしてる」 聡明な二つの瞳が眼鏡の奥からじっと見つめてくる。 璃乙くんとキッチンテーブルで二人ぼっち。 トースト、ハムエッグ、サラダ、フルーツヨーグルト、トマトスープ、… 和泉さんが用意してくれた朝食を頂いていたのですが。 ヨーグルト、スーツにこぼしたっ これ、シミになるかな!? 慌ててつまんで水道をお借りする。 シミにならないことを祈りながらテーブルに戻ると、璃乙くんが優雅に食べていた。 しぐさ、きれいだな。 そういうの、やっぱり和泉さんに似ている気がする。 もはや自分の唯一の特技である早食いを呪いたくなってくる。 「麻雪さん、大丈夫かな。心配だね?」 いたたまれなくなって、薄っぺらい笑顔を貼りつけながら璃乙くんに話しかけてみると、 「生理痛。いつものことだから心配いらない」 冷静なお返事が返ってきた。 麻雪さんが体調不良で起き上がれないということで、和泉さんがお世話に行っているんだけど、…そうか、生理痛。 「すごい、しっかりしてるね、璃乙くん」 何て言っていいかわからず、とりあえず誉めてみると、 「おサルはもっとしっかりした方がいいよ」 冷めた瞳で返された。 う。その通りだけど。その通りだけども。 小学生にまで言われるのか、私。 やさぐれた気分でトマトスープをすすると、これがまた美味しくて何だか切ない。 いいなぁ、麻雪さん。 和泉さんが旦那さんで出来の良さそうな子どもがいて。 朝ごはん一緒に食べたり、あんな風に優しいキスしてもらったり、… 「でも彼はそんなおサルが好きみたい」 は? 璃乙くんの発言が唐突過ぎてビビる。 まさか和泉さんのキスを反芻してたこと、バレてないよね? 「バイク。気をつけてね。…ごちそうさま」 璃乙くんはさっさと食べ終わり、食器をシンクに運ぶと洗い始めた。 いや、しっかりしてるわ。 そんで早食いでも負けたわ。 …ていうか、不思議な子だなぁ。
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