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blue.3
「おー、奏。久しぶり!」
「なんだよ、可愛い子連れて」
奏くんに連れられて入ったラーメン屋さんは都心の裏通りを入ってすぐの場所にあり、ダイニングバーのような佇まいで、女の子もたくさんいるカジュアルな感じのお店だった。
おしゃれなのに活気があって気取りない感じが心地良い。
奏くんは常連さんみたいで、店員さんとラフに会話している。
かっ、可愛い子って私ですか―――!?
店員さんのリップサービスに一瞬浮かれたけど、よく考えてみたら奏くんはいつも可愛い女の子を連れていたから、まあ、一種の定説みたいなものだろう。
テーブル席に座ると、ずっと奏くんと繋いでいた手が離れた。なんだか心細くなって、慌てて自分の手を握り締めた。
しっかりしろ、のい。
同級生に再会して、ご飯食べに来ただけだから。
それ以上でも以下でもないから。
ていうかさぁ。
私が足捻ったからなんだけどさ。
奏くんと手つないで歩いてたなんて高校の人たちに知られたら、確実に殺されるな…
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