近所の事件

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近所の事件

ポツリ、ポツリとアスファルトにシミができていく。ざわざわと木々が揺れる。 コンビニから家への道のりを歩くこと15分。傘を忘れたので手で屋根を作る。キャインと吠える中型の犬に気をとられていると、よぼよぼのスニーカーからグチョッと音がした。気になって見てみると、泥水にまみれたビニール袋だった。 あ、コンビニの… ゴミは点々と散らばっており、カラスの仕業と思われた。この辺りは特にカラスを見かけることが多い。ゴミ捨て場は簡易な網や柵でしか覆われていないので、賢いカラスは潜り抜けて引っ張り出してしまう。近所の人が掃除することもあるが、大抵は放置状態。私だって見かけるときはほぼ手ぶらなので、素手で触りたくないからと通りすぎることがほとんどだ。今度もまた例によって無視する。きっとこの雨でゴミは流され、下水道へと行き着くだろう。それなら大丈夫だ、と考えるのを止める。皆がやっているから、私だってそうするんだ。悪くない。 だめ押しで頭を左右に振る。このときやりすぎでクラっとしたのは内緒だ。 数日後、近所でちょっとしたニュースがあった。三羽のカラスがゴミ捨て場の近くで動かなくなっていたのだ。なんでも、ゴミを食べようとして詰まったのだとか。 まあよくあるよくある、とすぐに興味がなくなった私が、その三羽のカラスの嘴からビニールが覗いていたという話を聞き逃したのも、仕方がなかったのかもしれない。
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