花の首輪

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また風がひとつ、びゅうと 海へと吹き下ろす・・・。 「寒いね、オバアチャン・・・。  土の中も?オジイチャンも  そこで・・・・二人で  私も・・・そこがいいなあ  一人なんて、ひと、一匹だけど  一匹・・・こんなに寂しいんだ。  こんなに・・・寒いんだ・・・」 カサカサカサカサ・・・・ 枯葉まで慌てて何処かへ ・・・帰っていく・・・・。 帰るトコも、オバアチャンの膝も なんにも、なんにもないんだよ。 寒い・・・寒いなあ・・・・?! 「あれ?お隣に忘れもの。  そうだ、昼間に来てた  小学生の・・・」 お父さんのお墓参りに お母さんとやって来て一生懸命 お掃除してた男の子。 暑くなって、脱いだけど 忘れて帰っちゃったんだ。 「オバアチャン、これ、  少し借りることにする」 墓石と墓石の間に スッポリ挟まるベストに まんまるくなると とってもとっても とっても・・・眠くなった・・・。
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