今宵の客

たった一枚の・・・

岐阜の温泉宿に籠って

何日が過ぎただろうか？

初めて来た日に見た山は

濃い黄色から

紅色へと変わりつつあった。

何をする予定もない日が

また始まる・・・・・。

それでも身支度を整えて

蒲団は自分で畳んで

窓際でお茶を飲んだ。

それからチラリと携帯電話を

見てしまう、毎朝・・・、

携帯電話は無反応だけれど。

東京を“逃げて”から

オフにしたままだから。

いや、もう一台、オンの携帯電話。

東京を出るときに

友人の優子から渡された一つ。