マフラー

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「私、うっかり寝込んで・・・」 女が目を覚ました。 「何処まできたのかしら・・・  何日ぶりかで深く眠って」 「ちょっと一回りしただけですよ」 ワンメーターの料金を指した。 「ほんとうに・・・?」 女はキツネにツママれたような顔で バツ悪そうに慌てて降りた。 今宵の客に会釈でさよなら・・・。 ウィンカーを点して車を出した。 後部座席にはあのマフラー、 新しい自分になるために それは邪魔になるだけだ。 この“恋の死神タクシー”が 忘却の屑入れに投げておくよ・・・。           ー ① 了 ー
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