面倒くさい彼

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 美和の彼は面倒くさい。去年も初詣に色々な神社を回ったらいけないだとか、お賽銭をケチったらいけないだとか、高校生のくせに老人みたいなことを言った。この前も夜のデートの時に口笛を吹いたら蛇が出るぞと言って口を塞がれた。面倒くさいのは迷信だけに限ったことではなく、家に招くと、お母さんがいなかったりお祖母ちゃんがいなかったり、家族のものがいないと家に入らない。女の子一人の家にはあがらないというのだ。はっきり言うとウザいんだ、年内には一度でいいからハッキリ言ってやろうと思っていた。だけど機を逃して言えなかった。それは彼が傷つくようで言えなかったんだ。  話が逸れたが今日は1月1日、元旦だ。彼の佑太くんが家に来ることになっている。今日は家族のものがいるので佑太くんは家にあがると思う。お父さんもいるし男同志で語り合っていればいいと策略してあるのだ。美和は面倒くさい彼は放っておいて友達のカンナちゃんと初詣に行きたい。  昨日は大晦日だったので1時くらいまで起きていた。今日は寝坊して9時に目を覚ました。テレビではお笑い番組をやっていて着物の芸能人が和気あいあいと漫才やコントをやっている。
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