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「お父さん、佑太くんが来たよ」
「あの、これ、つまらないものですが・・・」
「おお!有難う、相変わらず、気が利くね」
お父さんは満面の笑顔を作る。
「お菓子なんです。食べてください」
「開けてみてもいいかな。お母さん、これ開けてくれないか?」
お母さんは器用にセロファンを剥がすと紙の包みをとった。中にはねずみの形をした和菓子が並んでいた。金箔が掛かっている。お父さんはそれを見て感嘆の声をあげた。
「悪いなあ、お母さんにお礼を言っておいてくれ。あっ、これは俺からだ」
お父さんはポチ袋を彼に渡す。仏壇の下の引き出しを弄っていたと思ったら、お年玉を用意してくれていたんだ。お父さんも気が利くなあ。美和は感心した。
「すみません、そんなつもりで来たんじゃないんですが」
彼はペコペコ頭を下げる。お母さんがお茶を持って来た。流石にもうお屠蘇は飲めないだろう。お母さんはにこやかに言う。
「こうして集まったんだからゲームでもしない?」
美和はゲームなんかやっているより、しつこいようだが外に出てカンナちゃんと初詣に行きたい。でも、彼のことをウザいなんて言えない。しかも元旦から言い争いなんてしたくない。
「ゲームって家にはオセロとジェンガくらいしかないじゃん」
美和はつまらなそうにする。だがお母さんはその様子に気が付かないみたいだ。
「オセロは一対一だからジェンガにしましょうか。負けた人は勝った人のいう事をきくっていうのは如何?」
えええ、王様ゲーム的なもの?これは負けられない。美和は眉間に皺を寄せる。
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