面倒くさい彼

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「そうなんだ!私が初めてだと思ってた!」 「うん、騙してたわけじゃないよ。言えなかったんだ」  言えなかったこと、美和も彼が面倒くさくてウザいと言えなかったが、キスを言わなかったのとは種類が違う。 「僕の黒歴史だから、これ以上は内緒ね」  なんだよー!もっと聞きたい。キス以上のことはしたんだろうか。因みに美和と彼は唇と唇をチョンと合わせただけだ。黒歴史って言うんだから凄いことをしたんじゃないかと想像してしまう。 「さあ、またゲームやります?」 「そうですねえ。あっ、初詣にみんなで行きましょうか?」  お母さんは美和が出掛ける予定なのを知らない。みんなで出掛けると、カンナちゃんとの約束を守れない。美和は仕方なく白状した。 「今日はね、友達と初詣に行く約束があんの」 「ええ!じゃあ、なんで佑太くんを呼んだの?」  お母さんが驚く。 「だって、新年の挨拶にどうしても家に来たいって佑太くんが言うんだもん」 「誰と約束してるんですか?」  お母さんは食い下がる。 「カンナちゃん」 「じゃあ、5人で行きましょうか」  仕方ない。美和はメールでカンナちゃんに『家の家族と、佑太くんとみんなで初詣に行こうか』と伝えた。返信は直ぐに返って来た。 『うん、いいよ。大勢の方が楽しいもんね。それにしても元旦から佑太くんと一緒なんて羨ましい』  そうかなあ。こっちは元旦から面倒くさいんだよ。佑太くんには言えないが。去年のうちに伝えてあげれば良かったかなあ。アンタ、面倒くさいんだよって。
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