アオハル

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アオハル

「マフラーってさ」 幼馴染みの美琴(みこと)がゴソゴソと持っていた紙袋を漁り始めた。 美琴と俺は小学校に入る前からの付き合いで、家も近くて親同士も仲が良い。高校も一緒で毎朝待ち合わせて登校する間柄だ。恋愛感情がないわけでもないが、あまりに近すぎてそれを意識しないように無理矢理彼女を作ったこともあった。 「マフラーってさ」 紙袋の中の綺麗に包装された中身を慌てて取り出す美琴。 「防寒の用途以外に使い道があると思う?」 中から出てきたのはマフラーだったが、質問の意味が全くわからない。 「私は3つ考えた」 美琴は続ける。 「一つ目は、これを一周して両端を引っ張ると」 自分の首に巻き付けながら実演して見せる美琴。 「武器になります。ぐえ」 本当に引っ張って見せる。なんなんだ、バカなの? 「二つ目は、このマフラーの先に重りをくくりつけ、カウボーイの様にくるくると振り回し、あっ、ごめんなさい」 実演してたら後ろにいたサラリーマンにぶつかりそうになった。 「道で振り回すのはやめなさい」 「…はい・・・。で、3つ目は」 「3つめは?」 とりあえず興味のあるフリをして聞いてやった。 「ここで、問題です。3つめは何でしょう?」 「知らねぇーよ!」 ツッコミを入れると、美琴は距離を縮めて俺の目をじっと見てきた。 「好きな人を落とすための武器です」 美琴は俺の首にマフラーを巻いてくれた。「手作りだからね」と言ってすたすたと歩いていく。美琴の耳が真っ赤になっているのがわかった。
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