September

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September

私は毎朝5時に起きる。隣の部屋で寝ている弟を起こさないように、携帯のアラームを鳴らすのは1回だけ。好きなアーティストの音楽で起きるわけでもなく、携帯の設定を何もいじらなくても元々設定されているであろう無難なアラーム音で起きる。どんなに寒い冬でも眠れなかった日でも、すっきりと起きられてしまうのは体質だろうか。 あまり物音を立てないように部屋を出ると、まずはキッチンへ向かった。起きがけに白湯を1杯飲むのは日課だ。白湯を飲んだら素早くジャージに着替えて30分のランニングをする。走りながら聴く音楽は流行りのJ-POPやロックバンドではなくて”ランニングにぴったりな曲10選”だ。一番効率よく走れるのは何かを色々試した結果、結局はこれに落ち着いた。 「おはよう。今日も頑張ってるね」 「おはようございます」 犬の散歩をしているおじいさんとすれ違う。全然知らない人だったけど、何回かすれ違ううちに今では顔見知りになった。見渡す限り田んぼが広がる田舎では、すれ違う人は高齢の方が多く、犬の散歩をしていたり畑をしていたりと朝が早い。私は生まれも育ちもこの田舎で育ったので、自然と朝から活動することが体に染み付いていた。 朝に出会う人は心なしか温かくて、朝からたくさん走っても全然疲れないどころか、逆に元気をもらっている気がするのだ。気持ちの良い疲労感を感じながらも清々しい気持ちで家に戻ると朝の6時。大体いつもこのくらいの時間で、そこから私はお弁当を作りを始める。これも学校がある日のルーティーンである。
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