肆、蠢く闇

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クラスに入るとそこは重苦しく(いや)な空気に満ちていた。そこに居るだけで吐きそうだ。 和紙を持っていてさえこれだ。 クラスメイトはすぐに体調不良をうったえ始めた。保健室に運ばれ、親が呼ばれ、帰っていく級友。 クラスに残ったのは顔色の優れない数名と俺とコハル。そして何故か元気そうな晴香。 「このクラスは学級閉鎖とします。速やかに下校しなさい」 担任にそう言われたので、俺たちは荷物を纏めてランドセルを背負う。 教室を出ると幾分呼吸が楽になった。それから校門を出ると妙な靄みたいなものが晴れた気がした。 教室に何か良くないものが満ちている事だけは分かったが俺にそれをどうこうする(すべ)はない。
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