壱、桔梗一族

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【桔梗一族】の興りは、平安の御代、末法時代に遡る。 当時、この村では疫病が蔓延していたと伝わる。村には医者もいない。薬もない。病に掛かれば死を待つだけ。 助からなかった命の残骸は彼方此方に散乱、腐敗している状態であった。 そんな惨憺たる様を目の当たりにしたのは、(みやこ)から来たという【滝口】という五人。 五人は力を使い果たすまで疫病への祭祀に取り組み、五十日の後に疫病がこの村から消えたという。 村人は五人に感謝し村の名を【滝口村】とした。村人だけでなく野山に棲む動物たちも感謝した。 そして五人はいつからか【桔梗一族】と呼ばれるようになったと、そう伝わっている。 その五人の末裔があの特別な五家であった。
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