予期しない日

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 眠い、朝早くから用があるというのでいつもより早い電車に乗った。  しかし、予定が変わったという。直接本人の口から聞いてないから確信は持てない。本人ではないが、電話での説明からは変わったというよりは、変わるしかなかったという感じがした。  なにも目的のないまま電車に乗るのはこれほど辛いものなのか。全く予期しない日に初めてを奪われたからだろうか。それとも朝早いからなのか。 電車内のアナウンス、 ハイヒールの音、 煩いほどの話し声──もう聞きたくない。  耳を塞いでもいつもより煩く聞こえる。なにも詰まってない身体に響いて共鳴した。  ドアにもたれかかっていると、あの最後に見た睨むような顔ではなく、屈託のない晴れ晴れとした顔が窓に映ってるような気がした。よく見ていた表情だった。  この電車内に漂う《ガス》漏れの臭いのせいもあって、気持ち悪くなる。  また誰かから漏れたんだ。どこに視線を移したらいいか分からなくなった。息がしづらい。その場に座り込むと、視界は狭まり黒い影のようなものが被さって見えなくなる。  ほぼ周りが見えないままで次の駅で倒れこむように降りた。床に膝と手をつくと動けなくなった。体が鉛のように重い。  誰もが自分を避けるようにして、電車から降りた。
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