予期しない日

5/8

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 女の人が一瞬目を見開いた。こういう反応をするのは分かりきっていた。  でもすぐに悲しそうな、辛そうで、苦しそうな顔になった。もはや哀れむような目をしてしる。これは予期出来なかった。 「違うわ、それは嘘でしょう。殺した人の目をしてないわ、何をがあったの?」 「どうしてそこまで自分に構うんですか。今の時代ほとんどの人が《ガス》の報告すらしないのに。」  女の人は今までの話の勢いが急になくなり、嫌な沈黙が流れた。ホームにいる人の視線が気になり始める。  また批判されているのではないか、余計な心配が始まりそうになると、そんな思いを遮るように女の人がまた話し出した。 「あのね、私、《バクハツ》で大事な人を失ってるの。《バクハツ》での最後は本当に残酷で、残された人も一番辛いと言われているわ。それを知っているのに無視はできないのよ。何があったの?もっと詳しく聞かせてほしい。」  不思議と目が離せなかった。自分が話さなければこの場から動けないように感じた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加