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「─嫌です。嫌だけどもうどうしたらいいのか、分からない。」
弱い呼吸に乗せるように声を出すと、さらに強く、きつく抱き締められた。
「簡単なことよ。あなが《バクハツ》しなければいいだけ、それがその子のためにもなるわ。」
「それは、なんの償いにもならない…。」
「十分な償いになるの。その子はあなたが死んだら絶対に悲しむ、辛いかもしれないけど頑張って生きるしかないの。」
頬に流れた涙を冷たい手でぬぐられ、そのまま包みこむようにに頭を何度も撫でられた。
タバコ、コーヒー、髪の毛、香水、酒…
あらゆるにおいというもの全てが、脳に直接伝わっていく。
気持ちが落ち着きを取り戻し始めると同時に、自分の《ガス》漏れの臭いがどれだけひどかったかを知った。
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