氷点下零度から。

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そして週明けの火曜日。 今日は手袋を外すトナカイさんに、余ってるカイロを投げつける予定だった。 なのに…… 「おはよー」 「あれ?梨花、今日月曜なのに早くない?」 「今日火曜日だよ。」 「いや。そーじゃなくて。週明けはいつも起きれなーいってギリギリじゃない。」 「そうだったっけ?」 投げつける気満々で楽しみにしてた今日。 普通に起きれたのもあるけど、今日はトナカイさんに会わなかった。 「ねえねえ、サッカー部って今日朝練?」 「ないよ?2月はない」 「ほんとに?コッソリやってたりしない?」 「しないよ。勝手にやったら怒られちゃうもん」 そっかー……朝練かと思ったんだけどなあ……。じゃあたまたま会えなかっただけか。 「あ!そういえば聞いたよ!なんでマフラーしないのか!」 「おお!なんだって?!」 「なんか拓人先輩、どうもマフラーの繊維がだめらしいんだよね〜」 繊維? 「ほら、ポリエステルとかウールとかあるじゃん」 「あー、なんか服のタグについてるやつ?何パーセント、とかかいてある?」 「そうそう」 なるほど。敏感肌なのかトナカイさん。 「何の繊維がだめなの?」 「んーそこまでは聞いてないなあ。でもさ、先輩梨花のこと知らなかったっぽいよ?最初だれ?って聞かれたよ」 そりゃ名乗ってませんからねぇ……。 「でもゆくゆく話していくと、あ〜あの無礼な子ね、とか、言ってたよ?梨花、先輩に何したの?」 無礼な子…いやたしかに無礼ではあるけれども。 「私はあの人が寒そうだったからカイロあげただけよ」 むしろ感謝してほしいくらい。 ……でもそっか繊維ね。 なるほど。 よし。
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