4040人が本棚に入れています
本棚に追加
隣で眠る女の横顔を見て、俺は溜め息を漏らした。
起きている時とは正反対の無防備さ。
あどけない寝顔。
その顔を永遠に眺めていたい。
夜を繰り返す度にきらめきが増し、切なさが込み上げる。こんな感情がこの世界に存在するなんて彼女に出会うまで知らなかった。
この想いを言葉には出来ない。
恋い焦がれても手に入らないのは、分かっていても独占したくて堪らない。
ずっと俺の傍でいて欲しい。でも、そんな言葉だけでは彼女を捕まえる事は出来ない。
彼女は「人科のオス」と言う生き物に全く興味がない。柔らかそうな栗色の髪に手を伸ばして、梳こうとした手を止める。
触れたい。
でも、触れられない。
そのままの距離で躊躇い、そっと手を引いた。
もう一度、彼女の寝顔を見つめる。
瞼にかかる前髪を軽く持ち上げる。
想いを乗せて、彼女の伏せた瞼に唇を寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!