1話

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あれから3時間経った。 指はまだ腫れているものの、痛みはなくなった。 「入るぞ」 そう声が聞こえたのにハッとして どうぞ、と言った。 やってきたのはくりちゃん。 「そろそろ鍛刀時間じゃないか?」 「そうだった、ありがとくりちゃん」 くりちゃんは極になってから本当に優しくなったなぁ、としみじみ思う。 「そういえば国永が言っていたが、火傷したのか…?」 鶴さんどこまで広めてるんだ… 「指だけだから大丈夫!痛みもなくなったし、腫れちゃったけど…」 「アンタ…何回目だ…」 「…5回目…」 はぁ…とくりちゃんが溜息をついた。 呆れてるのね。 自分でも思うよ。 「おっ、いたいた。主〜!」 そう後ろから鶴さんの声。 「今から鍛刀だろう?ついてくぜ。」 「はいはい、いこっか。」 鍛刀室にて。 「さぁ、誰かなぁ…」 ワクワクしながら刀に霊力を流す。 最初の頃はあんまり上手く扱うことができなかった霊力も、今では当たり前のように簡単にできてしまう。 「あっ、この刀鶴さんじゃない?」 真っ白な刀が出てきた。 「国永か…」 「くりちゃんってだいたい鶴さんだよね?逆にすごいね。」 うちのくりちゃんは鶴さんをよく出す。 初めて鶴さんを鍛刀したのもくりちゃんだった。 「おい、主。確かにこりゃ俺なんだが…」 と、鶴さんが急に話しかけてきて振り返る。 「ん?なんかあった?」 「だんだん黒くなってるんだ…。主、霊力使いすぎたんじゃないかい?」 私はもう一度刀を見る。 さっきまで真っ白だった刀は、真っ黒に染まっていた。  「嘘…まさか…」 まさかね? 私はそっと刀に触れた。 「…!おい!アンタやめとけ!」 そうくりちゃんが叫んだ瞬間、刀から光が放ち、付喪神になっていた。 真っ黒で目に赤を映す。 「久しぶりだなお嬢。様子見にきたぜ?」 あぁ、来てしまったか。 「お久しぶりです。元気でしたか? 父上様。」
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