言えなかった真実

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俺の部活の後輩には、血の繋がった妹がいる。 しかし、その妹とは彼女が1歳の時に別れてしまったので、向こうは俺のことなど覚えていないどころか、自分に兄貴がいることすら知らないのだ。 しかも。気付いてしまったのだ。彼女から向けられる好意に。 好意を向けられる前に伝えるべきだった。 俺は君の兄なんだよと。 しかし、恋愛感情を抱いた彼女にその真実を伝えるような残酷なことできない。 「まことさん。少しお話ししたいことが。」 とうとう呼び出されてしまった。 俺はどう答えるべき? 振って傷つけたくはない。 だけど、付き合うわけにはいかない。 だって妹だぞ? 妹とそういうこと、絶対できない。 かと言って今、兄だよっていうタイミングなのか? 目の前にいる妹を俺は見つめた。 「まことさん。好きなんです。付き合ってください。」 俺は黙り込んだ。 なんで言えばいいのか、なんて言うのが正解なのか、俺には分からなかった。 俺は下唇を強く噛みながら、目の前の妹をただ見つめていた。
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