まっしろ!

1/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
 昼はひねもす夜は夜もすがらしんしんと降り積もった雪は、僕を狂わせる氷点下の温度をもたらす。  その積雪の表面は、水晶のように煌めき、僕を蠱惑する神秘をもたらす。  雪煙と靄は僕をあやふやにしてぼんやりとさせ、山々を霞ませ、針葉樹を少しだけ覗かせ、それも白いクリスマスツリーの幻のようにしてしまう。  剰え太陽までも曖昧にさせ、ベールに包まれた光の玉みたいにして見分けがたい風景をほんのり輝かせる。  森羅万象は見渡す限り朦朧として肉眼で確かめ得る一切の線が模糊としている。  その掴みどころのなさが足元にも反映するようにふわふわして心地よく、まるで空中に浮いているようで僕は辺りの雪景色だけでなく純白の羽毛みたいに暖かくて柔らかい積雪にも溶け込みそうだ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!