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あの時は聞けなかった。
好きな人がいると聞いて諦めてしまった。
でも今は。
こうしてまた会えたから。
あなたに聞いてみたくなった。
「そ、それは・・・」
「教えてください」
「もしものことなんか・・・考えられない。その時にならないとわからないよ。わたしは不器用なんだ。きみに期待を持たせるようなことは言いたくないの」
伏せたまつげがかすかに震えているのが見えた。その困った顔がとても素敵でかわいくて、頼りなさげなあなたを抱きしめてあげたくなる。そう。あの時のように。あのハシゴの上であなたに告白した時にように。
でもあなたと僕の距離はあの時より離れてしまった。今の僕はあなたに触れることも叶わない。だから僕は・・・ああ、このかわいい人を、あまり困らせてはいけないな。
「さっきのみかんをください」
「うん・・・いいよ。葉山くん」
僕の女神がまた微笑んでくれた。
僕の恋は終わらない。
いつかきっと。
大好きなあなたを。
振り向かせたい。
『先輩。大好きです!』完
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