9人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしてここに、と、きみは言いたいのかな」
「そ、そ、そうです」
「それはわたしが葉山くんと同じ業界の人間だから」
「あ、あ、あ」
「大丈夫?飲み過ぎたんじゃない」
「大丈夫。大丈夫です。ああびっくりした」
七尾先輩は、医療コンサルタント企業に就職したと話してくれた。そして僕の会社が発行しているコラム誌も読んでいると。
「葉山くんの記事には署名があったから、すぐにあのハシゴの葉山くんだとわかった」
「ハシゴかあ。懐かしいですね」
「うん。もうあれから三年?」
「そう。そうですね。三年経ちました」
懐かしいと言ったが、ハシゴの上で告白したのが昨日のことのようだった。そして僕はまだこの人のことを忘れていない。
「葉山くん。結婚は?」
「まさか。まだですよ。そういう七尾先輩はどうなんですか」
「まさか。まだよ」
最初のコメントを投稿しよう!