恋はタイトロープ

2/9
前へ
/18ページ
次へ
 僕はその人の素敵な目を見ていた。  くっついてしまいそうなほど間近でその瞳を覗きこんでいた。  大きくて黒く澄んだ瞳。まるで黒い湖のようだ。  湖の表面に僕が写っている。  瞳を取り囲む虹彩のリングは、たとえようもなく美しい不思議な色。  ああ。なんて綺麗なんだろう。  そして僕はありったけの勇気をかき集め、その綺麗な目を真っすぐに見つめながら、この胸を焦がす思いを何度もつっかえながら告白した。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加