1285人が本棚に入れています
本棚に追加
scene:00
近い。
そう言おうとしたはずなのに言えないのが、なぜなのか──状況の理解は、まばたき2回分遅れて、僕の脳内にやってきた。
キスされてる。
同級生の、それも男に。
…いや、それだけじゃない。
同級生と言っても、目の前のコイツとマトモに関わりを持ったのは、昨夜。
しかも、会話をしたのは、ほんの数十分前という──およそ、キスされるような親密な関係性など、存在しない相手から。
あまりの衝撃に硬直していると、閉じていた唇を、温かく濡れたものがなぞる。その感触にゾクリと体が震えた瞬間、舌で唇をなぞられたのだと、わかった。
「………っ!」
喉の奥で、声にならない悲鳴を上げながら、僕は、意識が逆行するように遠のくのを感じた──。
最初のコメントを投稿しよう!