extra:17《出歯亀と底なし沼と二重丸》

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extra:17《出歯亀と底なし沼と二重丸》

   「ね? お願い。…班長が面倒なら、私が引き受けてもいいから」  橘花高校の正門のすぐ近くで、校内でも一、二を争うほどの美少女である辻村に、上目遣いでお願いされているこの状況。通りすがりの男子生徒が、僕に羨むような視線を向けてくる。  ──絶対、わざとやってるな、これ…。  辻村のしたたかさには、もはやため息しか出ない。  「…わかったよ。一応、話せそうだったら誘ってみる…」  「ホント? ありがとう」  渋々請け負えば、辻村が嬉しそうに微笑んだ。  ──あの2人も気の毒に…。  辻村の悪趣味の犠牲者になってしまった2人に、僕は心の底から同情しながら、正門をくぐった。            * * *  渋々引き受けたものの、元々クラスが離れているせいで、手塚に声をかける機会がないまま、昼休みになってしまった。  時期が時期だけに、今日は教室のあちこちでも、修学旅行の班についての会話が多い。  ──手塚のことだから、もう、サッカー部の仲間と組んでいるんじゃないだろうか…。
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