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extra:17《出歯亀と底なし沼と二重丸》
むしろ、その方が2人に取っては良いかも…と思いながらG組の教室へ向かえば、教室の前に手塚がいて、僕に気づくと足早に近づいてきた。
「紺野、ちょっといい? 修学旅行の班って、もう決めた?」
「…いや、まだ…っていうか、一応、辻村と平沼の2人と組む予定だけど」
「そっか…じゃあ、オレも入れてもらえないか、2人に訊いてくれないかな?」
「………」
──どうしよう、鴨がネギを背負ってきた。
まさか、手塚の方からやって来ることなど、予想もしていなかった僕は面食らい──朝、辻村が口にした言葉を思い出す。
“あの2人、何となくいい雰囲気だったのよ”
──これはやっぱり、手塚も平沼のことを意識しての申し出なのだろうか…?
友人としては、手塚を応援してあげたいが、それと同じくらい、辻村の悪趣味の餌食にすることへの申し訳なさもあり──結果、僕は返事ができずに黙りこむ。…すると、
「修学旅行のレポートなんて、オレには絶対無理だからさー。頼むよ、紺野~」
「………」
──お前の目的は平沼じゃなくて、修学旅行のレポートなのか?
やっぱり断ってやろうかな、と思ったところで、僕の代わりに応える声があがる。
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