extra:17《出歯亀と底なし沼と二重丸》

1/1
前へ
/787ページ
次へ

extra:17《出歯亀と底なし沼と二重丸》

   むしろ、その方が2人に取っては良いかも…と思いながらG組の教室へ向かえば、教室の前に手塚がいて、僕に気づくと足早に近づいてきた。  「紺野、ちょっといい? 修学旅行の班って、もう決めた?」  「…いや、まだ…っていうか、一応、辻村と平沼の2人と組む予定だけど」  「そっか…じゃあ、オレも入れてもらえないか、2人に訊いてくれないかな?」  「………」  ──どうしよう、鴨がネギを背負ってきた。  まさか、手塚の方からやって来ることなど、予想もしていなかった僕は面食らい──朝、辻村が口にした言葉を思い出す。  “あの2人、何となくいい雰囲気だったのよ”  ──これはやっぱり、手塚も平沼のことを意識しての申し出なのだろうか…?  友人としては、手塚を応援してあげたいが、それと同じくらい、辻村の悪趣味の餌食にすることへの申し訳なさもあり──結果、僕は返事ができずに黙りこむ。…すると、  「修学旅行のレポートなんて、オレには絶対無理だからさー。頼むよ、紺野~」  「………」  ──お前の目的は平沼じゃなくて、修学旅行のレポートなのか?  やっぱり断ってやろうかな、と思ったところで、僕の代わりに応える声があがる。
/787ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1285人が本棚に入れています
本棚に追加