最終手段を使わなきゃいけないみたいだ……〈side・晄慧〉

1/1
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

最終手段を使わなきゃいけないみたいだ……〈side・晄慧〉

春休みも終わりに近づいてきた三月下旬。 未だに小絵とは平行線を辿っていた。 心羽に来てもらうしかないかもしれない…… 春休みに入ってから三回、 小絵と会って“別れてくれ”と頼んだ。 何度も“好きな人がいる”と言っても 聞く耳を持たない。 本音を言えば、高校生の心羽を 連れて行くのは気が引ける。 だけど、今月は残り五日。 お互いの都合もある。 *:::*:::*:::*:::*:::*:::* そうして、三月の最終日 小絵と心羽に俺の部屋来てもらった。 心羽ん家は隣だけどな(苦笑) 俺の隣に心羽、向かいに小絵。 『心羽、悪いな。 折角の休日に』 今日が土曜日でよかった…… 『いえ、あの時言ったことは本心ですから』 テーブルの下で手握ってきた。 俺を自分のものにしたいとか 手握ってきたりとか本当に可愛すぎる~❢❢ 『ありがとな』 俺も握り返した。 「晄慧の好きな人ってその子なわけ!?」 小絵の反応は想定内だ。 心羽は華奢だし 可愛らしい顔立ちをしているが“男”だ。 『そう、俺は隣にいる心羽を愛してる』 俺は心羽の袖を捲り腕にキスをした。 『晄慧さん、くすぐったいです』 俺の行動に小絵は目を見開いている(笑) 腕へのキスは“恋慕” 心羽を愛してるという証明。 『わかっただろう?』 本当は首や胸、そして唇にもキスをしたい。 小絵がいるから我慢しているが。 『悪いが俺はもう、 小絵を愛していないし愛せない』 変な期待をさせるより はっきり言った方がいい。 小絵だって俺の 行動の意味くらいわかるだろうし。 「そう、晄慧の気持ちはわかった。 寂しいけれど、あんな風に 見せつけられたら諦めるしかないわね(苦笑)」 「今までありがとうね。 最後に一つだけ…… 絶対にその子を離しちゃ駄目よ」 小絵は俺も心羽も咎めなかったな…… 『こっちこそありがとな。 大丈夫だ、これが俺の最後の恋だから』 「よかったわ。 じゃぁね、学校では普通に話して」 『了解』 俺達は小絵を玄関まで見送った。 *:::*:::*:::*:::*:::*:::* これでやっと心羽と付き合える。 『心羽、愛してる』 『僕も愛してます』
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!