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1030(ヒトマルサンマル)集合、のち周囲散策。
1300(ヒトサンマルマル)小休止……。
「ルートは決まったのか」
横から手元を覗き込んできたマツザカに驚いたイブキは慌てて手帳を閉じる。
「多分――作戦的には上出来なんですが」
「どれ、見せてみ」
「嫌ですよ」
「いいからいいから」
「あ――」
手帳にまとめた予定表を見たマツザカはみるみる渋い顔になり、
「お前さ、デートは作戦行動じゃねえんだよ。全然色気ねえな」
「はあ」
「小休止って、飯のことか? 店は決めたのか」
「待ち合わせが商業施設なので、中に入っている店でいいかなと……」
一週間前に知り合った相手との初デートを翌日に控え、若いイブキは落ち着きを失いかけていた。
「に、してもよ」予定表を一読したマツザカは机上の鉛筆を取って何ごとかを手帳に書き足しながら、
「も少し余裕持て。こいつはまるで行軍表だ――女の子が可哀想だから、俺の修正案にのっとって明日を楽しむように」
「僕の案は」
手帳を受け取って声を上ずらせるイブキの肩をポンと叩き、マツザカは立ち上がった。
「待ち合わせ時間以外総じてボツだ。とりま経験積んでこい」
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