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日曜日。
……マツザカさんの案、本当に大丈夫なのかな……。
駅構内の雑踏の中を、期待と不安に囚われながら思案して歩く。
しかもマツザカさん、「急遽店を予約したから夜はここにしろ」ってすごい高そうなフレンチの店紹介してくれたし。
お膳立てしてくれるのはありがたいけど、夜まで僕らの間が持つかどうかもわからないのに……。
おびただしい数の人間が押し寄せる交差点を渡り、待ち合わせの場所――出目ニワトリのオブジェ前に到着したイブキは、ふ、と浅く息をついて辺りを見回した。
まだ、彼女の姿は見当たらない。
今日会う女子は、物好きの――面倒見のよいマツザカに「こいつは登録しねえとあとが怖いぞ、さっさとやっとけ」と促されてやったマッチングプログラムが選んだ相手。
しかしプロフィール写真が想像を超えて可愛い女の子だったため、「お前、俺と代われ」とマツザカが半分本気で迫ってきたほどだ。
「既婚者でしょ、駄目ですって」
「あいつのことは何とかするから」
「駄目です。報告しますよ」
自室に戻ってから何とか自分を落ち着かせ、相手にDMを入れたところ、意外なことが起きた。
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