学園生活のはじまりは…

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階段を上がりきった僕がハァッと思わず溜め息を溢して顔を上げると、そこには腰に手を当てた先生が立っていた。 「遅せぇな。待ちくたびれたぞ」 「え?」 先生、僕のこと待っていてくれたんだ。 予鈴鳴ってるのに…。 「俺は教師だからな。可愛い教え子を置いて行くほど鬼畜じゃない」 ニヤリと笑った先生に、なんだか胡散臭いものを感じるのは気のせいだろうか…。 「ほら、早くしろ。お前のせいで教師の俺が遅刻する訳にいかねぇからな」 先生はそう言うと、踵を返して歩き出す。 ちょっと怖い先生だけど、意外と優しいんだ…。 「あっ、すみません。ありがとうございました!」 僕は謝って、それからお礼を言ってから何組の先生で名前が何て言うのか聞いていないことに気がついた。 しまった!聞いておけば良かった。 何で聞いておかなかったんだろう、いっつも僕はこうだ。 だからダメダメって言われるんだよね…。 ついつい溜め息をつきそうになり、グッと我慢する。 いや、今日から高校生になったんだから今から頑張ればいいんだ! 先生も1年担任の様だし、これから入学式で紹介もあるからすぐに分かるはずだ。 よし、学校生活に勉強に頑張るぞ。 そう決意を新たにして顔を上げる。 それから自分のクラスが何処か探し始めた瞬間、僕の首根っこがいきなり後ろから引っ張られた。 「!!?」 「何をボーッとしてる」 「え、あれっ?先生?」 そこには不機嫌そうな顔をした先生が居て、僕の制服の襟を掴んでいた。 先生、自分の教室に行ったんじゃ?と顔に疑問が浮かんでいたらしい。 盛大に呆れた顔をした先生が漸く首根っこを解放してくれて、僕はまともに地面へ足をつけた。 解放されたけど、首がちょっと痛い…。 僕が痛めた首を手で撫でながら見上げると、先生が思いきり上から見下ろしながら言った。 「お前のクラスはこっちだ」 指の先の方をそのまま辿って見ると、クラスプレートが下がっていて、そこに『1組』とある。 「それでお前のクラスの担任は、俺だ」
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