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「顔は可愛くても他のΩの奴らと比べて、ちょっと地味で特に何も出来ないんだよな~。」
「確かに。元々Ωの連中は特に何も出来ないヤツが多いけどな。とはいえ星宮の顔は結構好みなんだけど、妻にするには地味だよな」
「あと、どんくさいしな」
その言葉に3人が笑う。
確かに僕はΩにしては綺麗でもないし、一際どんくさい。
ヒートだって僕以外のΩはみんな経験している様で、それを抑える抑制剤を飲んでいたり、体調が良くないと休む子だっている。
なのに、僕は…。
「Ωの唯一取り柄は俺達の子ども、αを産めることだけなのに。未だにヒート来ないΩなんてダメΩ決定じゃん」
「…!!!」
クラスメイトの声が胸に突き刺さって、ギュッと締め付けられる。
恐ろしいほどに血の気が引いていって、僕の脳内は『ダメΩ』『出来損ない』がグルグルと渦巻いた。
αの彼らとΩの僕とは特に仲がいい訳ではないけれど、普通にクラスメイトとしては会話を交わしたりもしていた。
声を聞くだけで認識出来るくらいには、僕はαの彼らを同じクラスの優秀で頼れる仲間だと思って慕っていたのに。
なのに、そんな…陰でこんなことを言われていたなんて思いもしなかった。
僕みたいな男Ωは、ヒートと呼ばれる発情期にαと交尾することでαの子どもをほぼ確実に妊娠する。
そして男Ωは高確率でαを身籠ると言われているし、女Ωよりもαの出産率が高いらしくて、そういう意味でだけ求められていた。
αを妊娠する道具としての認識はまだ強く残っていて、そんな男Ωの最高の幸せが【運命の番】と出会い結ばれることだと言われていた。
僕が唇を噛み締めたと同時に1人が突然声を大きく上げた。
「それより要!アイツさ~Ωの中でもめっちゃ美人だし賢いしヒートも早かったらしいから、きっと優秀なα産めるぜ。俺、実は狙ってんだよね」
要くんはクラスの中でも特別美人で優秀なΩだ。
本当に素敵でαの皆が惹かれるのも分かる。
世間では、特別綺麗で早くにヒートを迎えた賢い男Ωは確実に優秀なαの男児を産むと言われている。
だから要くんみたいな子は、αからの視線も熱い。
僕と要くんでは月とスッポンだった。
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