学園生活のはじまりは…

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そういう訳で入学式会場へ向かう廊下を並んで歩く。 先頭はもちろん先生で、その後ろに出席番号順で生徒が続く。 僕は並び順でいくと結構前なので、先生が近い。 こうして並んでみれば先生の背の高さや背中の大きさが分かって、αが如何に恵まれているのかを改めて実感させられた。 αとΩが二列に並んで歩く光景は、小学生からの事で見慣れていたとはいえ、やはり高校生ともなると違う。 エリート揃いのαのオーラは尋常じゃない。 なんだか頭がぽやぽやしてきて、α酔いを起こしそうになる。 αに慣れないΩで、体の弱い個体がたまに起こすやっかいな症状だ。 案の定、僕は出来損ないと周囲から陰口を叩かれるだけあって、何度かα酔いを起こしている。 対処法は分かっているとはいえ、辛い事に違いない。 僕は一瞬目を閉じ頭を軽く振ると、列を抜け空いた窓から新鮮な空気を肺へと取り込んだ。 「はぁっ…」 「大丈夫か?」 「え?!」 すると聞きなれない声が明らかに自分に向けて掛けられた。 先生かと思ったけれど明らかに違う声で、僕は不思議に思いながら横を向いた。 そこには背の高いαが立っていて、僕の体調を気にかけてくれている様子だった。 「保健室に行くか?」 紅茶の様な色の髪と目をした整った顔で、αの中でも美形の部類だと分かる。 αに甘く優しい声で心配されるなんて、小学校低学年の時以来かもしれない。 湖城先生の美形具合といい勝負なのでは…なんて、酔いが治まってきたせいか、そんなことを考えてしまった。 この人も凄く優秀そうだ。
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