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「 お通夜、始まったね 」
「 …うん 」
「 でも、ここで良かったかも 」
「 中やったらまた絶対泣くもんね 」
目が覚め、色々な準備に追われあっという間に通夜の時間になっていた。私達従姉妹4人は受付の為、中に入ることは出来ずお経の声を静かに聞きながら来てくれた人達一人一人に頭を下げお香典を受け取る。
「 あー、もう始まっちゅう 」
そして聞こえる嫌な声。昨日母に言葉の攻撃を浴びさせた親戚が、遅れて入ってきた。私と妹は静かに視線の暴力を向け、その時居合わせず何があったのか知らない従姉妹二人は「 開始時間知らんかった?遅くない?来るの 」とひそひそと話している。
「 玉串奉天、あんた達も行ってきい 」
そろそろ終わりを迎える祖父の通夜。涙を浮かべる私達の元へ母と母の姉がやってきて、受付を一時的に変わって貰った。中へ入れば、遅れてきたにも関わらず親族の席を陣取り、遺族や親族の玉串奉天が終わった後に来た私達を何故か睨む心なき暴君な彼女。
「 てっちゃんも不幸やったね、こんな孫達で 」
おい、 聞こえているぞ。祖父を勝手に不幸にするな。そしてその言葉に誰も返さない。言いたい放題はそんなにいい気な物なのだろうか。
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