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親戚
そんな義母と俺の実母とは、あまりに違っていた。性格も生き方も何もかも違っていた。実母は義母のことを、内心では良く思っていなかった。
「自分が遊びたいために、一生懸命に仕事しているあなたたちがコンビニ弁当で済ませなければならないなんて、あまりにも非常識だ。」
というような内容の文句を、実家に戻るたびに聞かされた。
実母は町内会の役員やボランティアなどの社会的活動を好んでしていた。義母は、そうしたことは嫌いだった。親戚との付き合いでさえ苦手だと言って、盆暮れの挨拶回りも主役は義父の役目だった。
嫁には2歳年上の姉と5歳年上の兄がいた。嫁の兄は国家公務員で遠い都会に住んでいた。嫁の姉は、実家から車で30分程の隣町に住むサラリーマンに嫁いでいた。嫁の姉も、その夫も麻雀が好きだったので、彼らはよく家に遊びに来て麻雀を楽しんでいた。嫁の兄は盆正月くらいしか実家に戻って来なかったが、来たら必ず家族で麻雀を楽しんでいた。
だが、その兄の嫁は麻雀をすることはなく、皆が遊んでいる横の台所で、皆のために料理を作った。近くのスーパーまで車で買出しに出かけ、自腹で大量の食材を用意し、プロ並みの美味い料理を作ってくれた。
彼女は料理を終えると掃除をした。台所や風呂やトイレをピカピカに磨き上げ、廊下や階段などの隅々まで懇切丁寧に掃除した。夏には窓ガラスを磨き、庭の雑草を抜き、集まった皆の車まで洗った。
ところが、義母は、この兄嫁がイヤだった。
「人の粗探しをするように細かいところまで掃除されると面白くない。確かに毎日のように掃除している訳じゃないけど、暮らしていく上で困るほど不潔にしているつもりはない。」
と、兄たちが帰った後、必ず俺や嫁にこぼした。
俺は実際仕事が忙しく麻雀に付き合う暇はなかったが、そのことで咎められたことはない。
「よく働く、いい婿だ。体だけ壊さないように気をつけて。」
と義母は言ってくれた。
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