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息子二人はまるで違う性格だった。
長男は明るく活発。学業成績は極めて優秀。運動神経も発達しており、リーダーシップがあり、友だちも多かった。
次男は風変わりな子どもだった。普段は外に出て一日中でも蟻の巣をほじったり蝉の抜け殻を集めたり、海や川の中から小さな虫や魚を収集して2~3日観察すると海や川へ戻した。性格はおっとりと優しいが、几帳面で神経質なところがあり物静かで、気の合う数人の友達がいれば良いようだった。
長男は某国立大学の理工学部へ進学し一流企業に就職した。次男は高校卒業後、そのまま家の後継ぎをしたいと言ったが、とりあえず最新の染色技術を学ぶための大学へ進学させた。
実家の母は学業優秀な長男を鼻にかけ、会う人皆に彼の存在を自慢げにアピールした。次男の教育については、もっとハッパをかければ伸びるはずなのに放置している親が悪いと口酸っぱく罵られた。彼には彼の生き方があるのだと、その度に俺は母を諭した。
義母はどちらの息子にも同じように接した。三毛猫も黒猫もネコはネコといったふうだった。
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