ノイズ

3/5
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
彼がお風呂から上がって来ないうちに、スマホを操作する。ロックはかかっていないようで、すんなりとラインを見ることができた。 「…………あった」 知らない女の名前らしきものがあり、その中身を見る。 「えっ……そんな……」 『今日もありがとうね! とっても楽しかったよー! でも、まさかスマホをおウチに忘れてくるなんて思わなかったよ〜(汗) 全然、待ち合わせ場所に来ないから電話しちゃった! 大丈夫……だったよね? カノジョさんにバレてないよね? あーあ、早く一緒に暮らしたいね。 それじゃ、また来週ね〜! 好きだよ(照) おやすみ』 わたしの中で何かが崩れる音が聞こえる。 ガラガラと、瓦礫が崩れるような音がする。 わたしは、スマホを片手に脱衣所を出た。 彼は呑気にお風呂に入ったまま。 「おい! オレのスマホ勝手に持ってっただろ?!」 お風呂から上がって来た彼が、鬼の様な形相でリビングに入って来た。 わたしは、ソファでココアを飲んでいた。彼が探しているスマホはローテーブルの上だ。 「……ねぇ」 「なんだよ」 不機嫌な彼。ただ、どこか落ち着きのない様子。 「わたしのこと“愛してる”?」 「はぁ?」 彼の間の抜けた声が耳に入る。 「わたしのこと“好き”って、聞いたの」 「何言ってんだよ」 「お願い質問に答えて。?」 「何で言わなきゃならないんだよ。お前、おかしいぞ?」 ーーーどうして言ってくれないの? 「おかしくないよ。ただの愛情確認」 「意味分かんねぇよ」 ーーーどうして、その一言が言えないの? 「お願い、わたしのこと“好き”って言って。それだけでいいから」 ーーーお願い。あのラインはウソだったって、錯覚させて 「……わかったよ」 彼はわたしのお願いを聞き入れてくれた。 わたしは彼の言う言葉を待つ。心臓がうるさくリズムを刻む。 彼が、口を開いた。 「
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!