島崎くんへ。

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 中学の頃の同級生が亡くなったと知らせがきた。  どうやら病気が原因の様だったが、容態が急に悪化したとのことだった。  私たちはまだ20代なのに……。  知らせを聞いた時、真っ先に浮かんだのは中学の卒業式、彼の言葉と笑顔だった。  彼、島崎佳哉くんと私、井原この実はクラスメイトだった。  私も彼も、どちらかというとクラスで目立つ存在ではなく、いわゆる『その他大勢』だった。  逆に私の親友のさーちゃんは活発で誰からも好かていて、クラスの中心にいるような存在だった。  なんで私なんかが親友になれたのか今でも不思議に思う。  入学してすぐ仲良くなった私たちは、同じクラス・同じ吹奏楽部だったから、朝練から授業中、放課後練習までずーっと一緒に行動していた。  割とどんくさい私を、さーちゃんはぐいぐい引っ張っていってくれたから、周りからさーちゃんの腰巾着だと古くさい表現をされることもあった。
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