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島崎くんも吹奏楽部に入っていて、私はサックスを吹き、彼はフルートを吹いていた。
島崎くんの吹くフルートは、とてもきれいで優しい音だった。
私はアルトサックスで2番を吹くことが多くて、それは親友のさーちゃんの方がサックスが上手で彼女が1番を吹いた方がいい演奏になるという理由だったのだけど。
中学2年の時、島崎くんに、
「ねえ、井原さんってどうしてもっと1番を吹かないの?」
と聞かれたことがあった。
「さーちゃんの方が上手なの、知ってるでしょ?だからだよ。」
「井原さんもうまいと思うけど……。」
思いもよらない言葉に私は驚いた。
「……ありがと。あ、でも私、2番吹く方が好きなんだ。」
自分が目立つのは緊張もするし、あまり向いてないと思っている。
それよりも後ろから目立つ人を支える方が自分に向いてるし、その立ち位置が割と好き。
そう話すと島崎くんは笑って、
「井原さんらしいね。」
と言った。
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