島崎くんへ。

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 島崎くんはクラスでは『その他大勢』だったけど、考え方もしっかりしてて、中学3年で部長をするほどだった。  そして私は島崎くんに頼まれて副部長になった。 「井原さんとならすごくやりやすそう。」  実際、副部長の仕事は大変なこともあったけど、楽しかった。  サックスで2番を吹くのと一緒で、部長の補佐をするのがやっぱり楽しかった。  当時私は同じ吹奏楽部でトランペットを吹いていた岡部くんのことが好きだった。  岡部くんは頭がよくてかっこよくて、彼のクラスや隣である私のクラス、それから後輩にも彼のことが好きな子が何人もいるという噂があった。  実はさーちゃんも岡部くんのことが好きだった。  お互いの好きな人が誰か打ち明けた時、2人とも同じ人だったのには驚いた。 「やっぱり岡部くん、モテるね……。」 と、さーちゃんはため息をついた。 「ねー。……でも、振り向いてもらえるように頑張る!」 と私は言った。  そんな岡部くんに言われたことがある。 「井原って月村の後ろでおとなしそうにしてるだけかと思ったら、結構仕事できるんだな。」  月村というのはさーちゃんの苗字だ。 「…そうなのかな?島崎くんを手伝ってるだけだよ。」 「島崎が部長としてうまく部をまとめられてるのも井原の補佐があるからでしょ。」  好きな人が自分のことを見ていてくれたことと、そんな風に言ってくれたことはすごくうれしかった。
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