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卒業式の日、出席していた親は先に帰宅し、クラスメイトや同じ部活だった子と連絡先を交換したり、写真を撮ったりしていた。
別の高校に進むさーちゃんとは、別の日に『お別れ会』というか『高校に行っても仲良くしようね会』というか、いわゆる女子会をする約束をして、別れた。
帰ろうと思った時、島崎くんに、
「井原さん、ちょっといいかな?」
と言われ、2人で音楽室に行くことになった。
「えっと、このシチュエーションで気づいてるかもだけど…。」
「……。」
「俺、井原さんのこと好きなんだ。」
「ありがとう。……でも、ごめんなさい。私……。」
「ああ、うん。井原さんが岡部のこと好きなのは知ってるんだ。」
「……そんなに分かりやすかったかな?」
「岡部が気づいてるかどうか分からないけどね。」
あいつは月村さんしか見てなかったから、と島崎くんは天井を見上げて苦笑した。
「……俺の気持ちを伝えたかっただけなんだ。ありがとう、聞いてくれて。」
そう言って笑顔で島崎くんは右手をこちらに差し出した。
「こちらこそ…ありがとう。」
そうして私たちは握手をして別れたんだ。
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