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その後すぐに二人のうち片方に両手を後ろに縛られ、簡素な小屋に拘留された。
「貴様は何者だ。ここで何をしていた。」私を拘留した侍風の男は高圧的に尋問を始めた。
外見は簡素な小屋だったが、中に入ると6畳ほどの空間が土間と畳のスペースに分かれており、土間にはかまどに水桶、畳のスペースには囲炉裏が設けてあり生活感がある。私は土間に正座させられて、畳の上であぐらをかく男に見下ろされていた。
「私は会社員をしています。昨晩自宅で就寝したはずなのですが、気がついたら見知らぬ森の中に放り出されていて・・・」自分でも整理しきれていない状況をうまく説明できない。
「カイシャイン?なんだそれは。妙な戯言はためにならんぞ。」男は顔をしかめた。
先ほどから、どうも話が噛み合わない。言語は通じているから同じ日本人だとしても、とても同じ文化圏で生活している人間だとは思えない。盛大なドッキリのターゲットになっているのでなければ、私は何かしら摩訶不思議な事象に巻き込まれたことになる。
何に置いても、私には優先すべきことがあった。
「妻がいるんです。昨晩一緒に寝ていたので、同じように森の中で迷っているかもしれません。探してはいただけませんか。」懇願するように男に訴えた。
男も、目の前の困り果てた男性の懇願に少し同情したのだろうか、尋問の姿勢を少し弱めた。
「貴様以外に今日怪しいものを捕縛したという報告はない。昼までの情報だが。」
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