0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
日常の一幕
蝕まれるときは身動きがとれないし周りが見えなくなる。ぎしりぎしりと内から悲鳴が聞こえてくる。もう無理だ。きっと死ぬ。
ふっと笑みが零れて目頭が熱を帯びる。落ちる、でも浮かんでる。バランスが悪くて安定しない。なのに動かない。死にそうなのに死ねない。生きてるけど耐えられない。
気力が無い。
なんで私生きてるの?
どうでも良い疑問が巡る。考えても仕方がないのに。
だって生まれたから。
答えはわかった。納得はしないけど。
暖かい光が頬を照らす。朝?早いわね。瞬き一つ。冷たい空気を吸い込みブルブルと震えながら吐き出す。
あぁ、朝になっちゃった…
重たい瞼を再度ゆったりと瞬かせ沈むように意識をとばす。
二度寝しよう…気持ちいいし、起きたくない…
体が硬直する。重たくて動けないのに不安定で揺れている。ベッドに背中を預けているのに押されて浮かび上がっているみたい。
起きるべき、でも起きたくない。
チク、タク、時計の音が響く。もうダメかもしれない。
「起きなさーい!!!」
「はーい!!!」
ウトウトでも返事は立派。
これこそ、毎朝繰り広げられる茶番である。
最初のコメントを投稿しよう!