言えなかった言葉

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 「さて、私そろそろ行かなくては」  私は言った。  「和美さんはこれから、どうするの」  「まずは雑誌社に帰ります。ずっと無断欠勤。もちろん、理由は言いましたけどね、それから」  直彦の目は真っすぐだ。  「今回のことを絶対記事にします。洋子のためにも」  直彦は目を離さないまま、きっぱりとした口調で言った。  「また、会えるかな」  ふわりと私の肩が揺らぐ気がした。  「もちろん」  私はそういって、手を伸ばした。  (おわり)  
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