お姫様のお菓子

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「おいしーい!ちぃちゃん、おいしい!」 「ネタのお菓子かと思ったけど、普通に旨いじゃん」 「……まあまあね」 「美味しい?良かった。伝えておくね」  三者三様の感想の後は、黙々と食べる。アーモンドを探しながらなので、まるで蟹を食べている様に静かだ。 「無かった!」 「私もはずれ」 「まなは?」  食べ終えた大人三人が、愛香をじっと見る。 「まなも、はずれちゃった……」  皿の上には、小さな菓子くずしか残って居ない。……と、いうことは。  四人の目が残り二切れに注がれた。 「まな、残ったガレット、持って帰ってお父さんと食べて。冠とフェーブも一緒に入れとくね」 「ほんと?!」  千都香に言われて、愛香の目が輝いた。   「おみやげ賛成ー!」 「どんなフェーブが出て来たか、今度見せてね」 「ありがとう!!……あ、でも」  愛香は困り顔で千都香の袖を引いた。 「ちぃちゃん、名人は?名人もこれ食べてないよ?」 「名人は、前に当てた事が有るから。まなにあげてって言うと思うよ」 「……当たったの?」 「うん」  正確には偶然「当たった」のではなく、入っていると分かっているガレットを全部食べて強引に「当てた」のだ。出て来たフェーブと冠は千都香に「やる」と渡されたので、今も大事に仕舞ってある。 「じゃあ……ありがとう!おことばにあまえます!」 「うんうん」 「甘えて甘えて!もっと甘えて!!」 「そうしてくれると、名人も喜ぶと思う……それに、」  千都香は冠を両手で持って、愛香の頭にそっと乗せた。 「この中では、まなが一番似合うから」  
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