捨てる神あれば拾う神あり

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「眩しい、真っ白……」 佐伯 萌が目を覚ましたのは、救急車で搬送された次の日の早朝だった。 「萌、萌、目ぇ覚めたかっ。佐伯です。目ぇ覚めました。意識戻りました」 空は看護師を呼ぶボタンを押しながら、 萌の手を握りしめて笑顔を見せた。でも、頰に一筋の涙が伝っている。 「あ……神さま?ちゃうな。黒い…なんかガラ悪い?なぁなぁあああ悪魔、じ、地獄ぅーここ」 萌は意識がまだもうろうとして、死んだと思い込んでいる様子。 喪服姿に金髪の空が萌のかすんだ瞳には悪魔に見えたようだ。 「ドアホ、誰がガラ悪い悪魔や。はんなり京美人どすえ」 空は、前半はパンチの効いたなにわのヤンキー口調、後半はゆったり舞妓気取りの口調でおどけてみせた。 「えっ、えっ、ここどこ、変なやつおる」 萌は高校合格発表の時、好きだったシンジの番号を一秒で見つけた以来、己の眼力を集中させた。 そして、5秒で覗き込んでいる顔認証が終了した。 「元ヤン空ぁー」 萌は満面の笑顔で空の首に抱きついた。 「んぐっ、やめぃ。首締まるやろ。あと、普通に呼べ」
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